妊娠、出産は、女性の一生のうちで数回の貴重な人生のイベントです。
その出産を自分の満足のいく充実した体験としてみませんか?

自分らしいお産を考えることは、ご自分の生き方やその後の人生を変えるキッカケとなります。
例えば、食事に無頓着だった方も「赤ちゃんのために、栄養のある物や有機野菜を食べよう」とて考えるようになったり、環境に興味の無かった方も、子育てのしやすい地域を求めたり、エコロジーを心がけるようになったりと、妊娠・出産を通して様々な変化を体験することと思います。お産を考えること、それは単に「どこで、どんな風に産む」という事ではなく、お産をする為に自分がどう行動し、どう変わっていくのか、自分自身が楽しむ機会なのです。その過程の中に、すばらしい出産の体験があり、それに続く、育児を楽しむ自分らしい生活に繋がっていくプロセスであると私は思います。

 

 

出産や陣痛に対してどのようなイメージをお持ちですか?

痛い・怖い・不安といったマイナスなイメージは、身体の緊張を招き、分娩の進行を妨げるだけでなく、痛みをよりいっそう強く感じることに繋がります。
陣痛は、痛くないといったらウソになります。でもその痛みは、必要なものなのです。お産の主役は、出産をするあなた自身と、自分で産道を一生懸命通って来る赤ちゃんと、そして陣痛なのです。陣痛は、子宮の筋肉が繰り返し収縮して赤ちゃんを押し出す力です。最初は緩やかな波で、波と波の間隔も長くして、赤ちゃんの負担の無いように始まり、波が大きくなる毎に、痛みに耐えられるよう脳内麻薬が出てきます。そのおかげで、赤ちゃんもあなた自身も乗り切ることができるのです。陣痛があるから、赤ちゃんは、大好きなママのお腹から出てみようという勇気も湧いてくるのです。赤ちゃんが狭い産道を通る時、子宮の収縮に度に、赤ちゃんの胸を圧迫することは、生後赤ちゃんが呼吸ができるための準備にもなっています。
陣痛が無ければ、赤ちゃんは決して生まれてくる事はできないのです。


 

 

 

出産を乗り切る一番のポイントは、いかに自分の身体をリラックスできるか

陣痛の波がきたら、ゆっくりした腹式呼吸で身体の緊張をとりながら乗り切りましょう。
そして陣痛と陣痛の間には、十分なリラックス。赤ちゃんには、いっぱいの酸素が行きわたり、あなた自身も分娩室に入るまでを楽に過ごすことができます。子宮と産道の関係はちょうど、スポイトと似ています。陣痛の波がきたら、子宮は収縮して、細い産道に赤ちゃんを押し出します。その時、細い産道に赤ちゃんを押し出すとき、緊張して全身の筋肉が硬くなっていると、子宮の入り口も開かないし、産道も緩んでくれません。逆にリラックスして身体が緩むと、子宮の入り口も開きやすくなり、産道も緩んで、赤ちゃんが通りやすくなります。しかし、この腹式呼吸とリラックスは、頭で理解するだけでは、お産当日すぐできるものではありません。事前に腹式呼吸とヨーガのポーズ、マタニティ・ヨーガを感覚的に身に付けることをオススメします。
マタニティ・ヨーガの良い点は、この腹式呼吸と様々なヨーガのポーズを練習することで、身体の緊張とゆるめるという感覚を身体を通して体験することができるため、自然と身体全身をリラックスさせる事を身に付くことです。そしてお産の場面では、どうぞどんな姿勢になってもかまいません。ご自分の「身体がこうしたい」という感覚のとおりに身体を動かしてみてください。それが、楽にお産を乗り切るコツです。そうした姿勢も、日頃行っているポーズが自然と出てくると思います。そうする事で、赤ちゃんもあなた自身も楽にお産を過ごす事ができるのです。
余計な力を使わないお産は、次の日から始まる育児に対しても身体が楽に対応できる事に繋がりますよ。
 

 

 

ヨーガによる身体的なリラックスの経験は、精神的リラックスを味わう機会にもなります。

ヨーガを実践していくと、ご自分の身体の様々な感覚が鋭くなっていきます。例えば「こう筋肉を伸ばすと身体のここが気持ちいい」とか、「こうしたポーズの時は、呼吸をゆっくりして身体を緩めるとより気持ちいい」といった感じです。そういった意識は、しだいに自分自身の心の動きに集中できるようになっていきます。ヨーガ本来の目的である、自分の中にある自身への気付き。日常の喧騒を離れ、落ち着いた、心穏やかな本来の求める姿を感じ取ることができるようになります。マタニティヨーガは、2・3つのポーズの後にリラックスの時間があり、最後には毎回瞑想の時間があります。その瞑想を終えた後の参加している皆さんの心穏やかな表情を見る度に、深い瞑想を味わう事の大切さを感じています。

 

 

 

ヨーガを繰り返して、身体のリラックス・心のリラックスを通して「身体の声」に向き合おう。

アフリカや東南アジアなどまだ近代化されず全く医療の介在しない地域では、お産が始まると、自然と自由な姿勢や動きして出産をしています。その動きは日頃行っている踊りだったり、歌だったりします。それに比べ、西洋文化・物質文明の中で生きる私達は、物事を理論的に捕らえ、行動しています。医療が介在するお産に慣れていると、お産には医療が無いとできないのではないかと錯覚するほどです。しかし、太古の昔からお産はあり、子供が生まれ育ってきました。本来お産は、自然な営みの中の一部であったと思います。もちろん、医療を否定するわけではなく、医療があるから助かる命のあることもわかっています。そうではなくて、「自分で産む」という本来の能力が私達女性には備わっている事を思い起こし、その力を高めていく事が大事なことだと思うのです。しかし西洋文化・物質文明の中で生きる私たちは、「自然な動きや姿勢をしてもいい」と言われても、どうしていいのかわからない場合ががほとんどです。

陣痛がきたときに、ぜひ本当の自分の姿勢や動きをしたいものです。自分の理性的な部分を取っ払い自分の身体のおもむくままに、自由な自分を解放していくことに慣れていく事が必要です。そして身体の中にある無意識のエネルギーが活性化され、本能のままに行動できる力は、陣痛を受容し、陣痛の波と一体化して、最後に赤ちゃんを産みだすというクライマックスへと繋がっていきます。「身体がこうしたい」という本能的な感覚を得ます。

 
お産の場面で重要な自分自信に集中できる力、陣痛の波に乗って自然と一体となる物質文明にどっぷり浸かっている日常の中では、そうした本能的な感覚や能力を培うことはできないのです。ヨーガを繰り返していくと、身体のリラックス、心のリラックスを通して「身体の声」に向き合うため、本来自分自身に備わっている産む能力を高めていくことになるのです。

マタニティ・ヨーガを通して、心と身体をリフレッシュして、本来自分自身に備わっている産む能力を高めていって頂きたいと思います。

 

 

 

 

マタニティー・ヨーガは、普通のヨーガとは違い、筋肉を鍛えたり、つけたりする事を目的にはしていません。お産に必要な柔軟な身体や、腹式呼吸やリラックスを身に付ける事が大きな目的となっています。それ以外の効果として期待できるのが、腰痛や肩こりなどの妊娠に伴う不快症状を和らげることです。妊娠は病気ではないのですが、つわりなどの身体の変化に対して、「大事にしなくては」という心理が働き、妊娠する前よりも身体を動かすことに慎重になっている方も多く見られますが、身体を動かさないでいると、便秘や血液の循環が悪くなって腰痛や肩こりなどが起きやすくなります。一度マタニティ・ヨーガを体験された方は、皆さん一様に、「こんなに身体を動かしていいんですね」「身体を動かすと気持ちいいです」という感想を口にされます。妊娠したから普段しない運動を始めるのではなく、妊娠の経過に合わせた運動を行っていくことが大切。マタニティ・ヨーガの他には、マタニティ・スイミング、マタニティ・ビクスなどがありますが、オススメなのは、散歩です。適度に歩くことで、お産に必要な体力や筋力をつけるだけでなく、歪みやすい骨盤を調整する働きもあります。

目標は一日8000歩くらい。ただし、散歩をしたことのない方は、一日10分位から慣らすなど、個々によって調整が必要です。
靴と靴下を履いて、散歩の前には準備体操、リュック(中身はハンカチ・ティッシュ・小銭・携帯電話くらい)で、手には荷物を持たないようにして歩きましょう!


 

 

 

 

マタニティ・ヨーガの利点は、何も道具が要らなく、天気にかかわらず、いつでも、どこでもできることです。マタニティ・ヨーガクラスに参加し、ヨーガのポーズを覚えて、家でも毎日少しの時間でも実行することができます。最初はゆっくりした腹式呼吸が難しかったり、ポーズに気をとられて自分に集中できなかったりしますが、慣れてくると、ポーズも頭に入って、自然に自分に集中していくようになります。そうなると、身体も始める以前よりも柔軟になり、リラックスがたまらなく気持ちよく、瞑想が心地よく感じられてきます。以前妊娠中にマタニティ・ヨーガを経験され、出産後にクラスに参加された方が、「以前妊娠していた時に感じたあの充実感が、おなかに赤ちゃんがいなくなったら、全く感じられなかった」とおっしゃっていました。マタニティ・ヨーガは、妊娠していない時のヨーガの体験よりも、妊娠している時の方がより深い感覚を味わう事ができるのです。
どうか、一人でも多くの方が、この心地よさを味わって頂きたいと思います。

<参考文献>
九島章二、森田俊一、森佐知子「自然出産とマタニティ・ヨーガ」メディカ出版 1994年

 

 

 

 

出産直後の骨盤は最大に開きグラグラの状態!出産直後は、出来るだけ早い段階、できれば分娩台の上で、枕などでお尻を高くして、骨盤支持をしましょう。恥骨の周囲を締めることもオススメです。出産する施設を選ぶ際は、出産直後に骨盤ケアを実施しているところを選ぶことがオススメです。もし骨盤ケアをしていない施設の場合は、自分で分娩直後にサラシやトコちゃんベルトなどで骨盤支持をしてください。その際は施設にあらかじめその旨をお伝えしておくとよいでしょう。


 

 

 

分娩直後すぐに産後ニッパー等でお臍(へそ)周囲を締めると、骨盤が元のチューリップ型に戻れずに、逆に裾広がりの骨盤になってしまいます。骨盤内の内臓はみんな下がってしまうために、お尻が大きくなったり、お腹がポッコリ出やすくなります。産後に骨盤が戻る順番は、骨盤の下が元に戻って、次に上部が戻る、です。先にお臍(へそ)周りを締めてしまっては、全くの逆効果。骨盤がチューリップ型に戻って初めて、腹筋や骨盤底筋が元の状態に戻りやすくなるのです。



 

 

 

①骨盤の戻りが良くなる
②産後出血が少なくなる
③後陣痛が楽になる
④痔や便秘、尿漏れの改善
⑤外陰部の傷の痛みや腫れの減少

骨盤支持をする場合、仰向けで寝て、膝を曲げて、お尻を高くして水平になった状態で骨盤支持をすると、一番締まった状態で固定出来ます。骨盤戻りが良くなると、子宮が正常な位置に戻り、子宮収縮が促されて出血が減少します。子宮が下がった状態の外陰部はうっ血して循環が悪くなるため、切開傷や腫れが余計ひどくなることもありますが、正しく骨盤支持をすることで、子宮が上がり、固定した直後から、痛みや腫れが引いて楽になります。下がった子宮は余計に収縮して元に戻ろうとするので、後陣痛も強くなりますが、正しく骨盤支持をすると、正常な位置に子宮が落ち着き、適度な子宮収縮になるため、後陣痛も楽になります。


下がった膀胱や腸も骨盤高位で骨盤支持を続けることで、内臓は正常な位置に落ち着くため、痔や便秘、尿漏れといった症状も改善されていきますよ。

 

 

リラキシンの影響は産後2ヶ月間近く。骨盤のゆるみが元に戻るには、最低でも2ヶ月くらいかかります。妊娠中から親戚や友人、産後の家事代行などを手配して、産後一ヶ月は安静が保てるように準備しておきましょう。産後一ヶ月は、ベビー以上に重いものはなるべく持たず、寂しい想いをさせた上のお子さんのへの愛情に関しては、座った抱っこで「良く頑張ったね。大好きだよ」と抱きしめてあげて下さい。骨盤が戻ってから、立って思いっきり抱っこしてあげてください。また、骨盤支持(トコちゃんベルトやサラシ)は、最初の一ヶ月はトイレや入浴時もはずさない方がいいです。骨盤支持をはずすと、急に骨盤がゆるんでドッと出血することがあり、はずした為に倒れたりする方もいます。その方の症状に合わせたケアやアドバイスが必要です。
また、恥骨が痛かったり、弛(たる)んでいる人は、予防として重力のかかる状態で、決して骨盤支持を外さないようにお願いしたいです。

 

 



最低でも2ヶ月は骨盤支持をされることをお勧めします。しかし個人差があり、早い人は1ヶ月、長くて6ヶ月たっても骨盤のゆるさが戻らない方もいます。ご自身の骨盤の戻り具合に合わせて骨盤支持をし、日常生活をして、徐々に筋力をつけて、骨盤支持をしなくてもいい身体に戻すことを目標にしましょう。また、産後6ヶ月~1年は骨盤がゆるい状態が続くので、腰痛などの予防的に、掃除や買い物、洗濯やご飯の支度などのように重力がかかるような作業の時には、予防的に使用するというのもお勧めします。

 

産後の骨盤は6ヶ月までは本当にゆるい状態で、掃除機をかけるにも、同じ方向にばかり足を出していると、それだけで歪んでしまう可能性があるほどです。骨盤が歪まない姿勢に気を付けるため、足を組む、横座り、ペチャンコ座りは控え、スリングをかける肩やバックを持つ手も左右交互に持つ。授乳も、自分が赤ちゃんに近づくようにしては歪んだ姿勢になるので、授乳クッションを使うなどの工夫をしてみましょう。


 

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